はじめての合板DL・モジュール木工

はじめての合板DL・モジュール木工

「合板DL・モジュール木工」は、中学校技術科の「材料と加工」の授業で活用できる教材です。免外・副免・臨免・許可免の教員でも、技術の本質的な内容を指導できるように開発されました。

教授

従来の木工作品の製作授業で、真の「技術の内容」が活かされていましたか?

この教材で学べる3つの「技術の内容」

L材凹部の合板DL材先端の圧着 突き付け接ぎ(赤線が接着面)
L材凹部の合板DL材先端の圧着 突き付け接ぎ(赤線が接着面)

「合板DL・モジュール木工」で学べる技術の内容は、以下の3つです。

  1. 材料の強さと構造の強さ ― 合板DL材の断面形状を工夫して、曲げ強さを高める技術
  2. より丈夫な材料の工夫創造 ― 合板は木材の欠点(木目方向による強度差)を補う改良木材
  3. 強固な接着接合 ― L材凹部と合板DL材先端の「圧着・突き付け接ぎ」による簡単で丈夫な接合

この教材は「合板(材料)」と「合板DL材による製作(加工)」を通して、生徒が問題解決学習の中で技術の内容を学び、工夫創造する思考力を身につけることを目指しています。

鉄骨断面形状 ― L材発想の原点
鉄骨断面形状 ― L材発想の原点
合板DL材・L材・T材
合板DL材・L材・T材
合板DL教材を使った製作品
合板DL教材を使った製作品

① 材料の技術 ― 合板(ごうはん)とは?

合板とはどのような材料で、どのように作られるのでしょうか。まずは合板の製造工程から見てみましょう。

単板(たんぱん)の製造

合板の原料は「単板」と呼ばれる薄い板です。原木を大根のかつら剥きのように回転させながら削り出すことで製造されます。

大根のかつら剥き
大根のかつら剥き
原木
原木
原木を回転削り(かつら剥き)して単板を製造
原木を回転削り(かつら剥き)して単板を製造
教授

この回転削りによる切削は「切りくずが発生しない」のが特長です。丸のこや帯のこで板材を切り出す場合は切りくずが発生しますが、ロータリーレースでは無駄なく単板を製造できます。

丸のこ・帯のこでは切りくずが発生
丸のこ・帯のこでは切りくずが発生
ロータリーレースで製造された単板
ロータリーレースで製造された単板
教授

こうして製造された単板は、紙のようにヒラヒラ、ぐにゃぐにゃ。簡単に手で巻物のように丸めることができるほどの薄い板です。

以下の動画で、合板の製造工程の全体像をご覧いただけます。

合板製造の流れ引用元:日新グループ「合板生産の流れ」

合板の構造 ― なぜ丈夫になるのか?

単板を重ねて接着するだけで、なぜ木材より丈夫になるのでしょうか。その秘密は「直交積層」にあります。

教授

単板を奇数枚、繊維方向を直交させて重ね合わせ、接着剤で圧着させた改良木材 ―― それが「合板」です。

合板の構成 ― 単板を直交させて重ね合わせる
合板の構成 ― 単板を直交させて重ね合わせる

木材には繊維方向に強く、繊維と直交する方向に弱いという「異方性」があります。単板を互い違いに重ねることで、この弱点を補い合い、どの方向にも均一な強さを実現しています。

合板は、木材の欠点を克服するために人類が工夫創造した「改良木材」です。

木材と合板の曲げ強さを比べてみよう

木材の異方性と合板の特長を、実際に試して確かめてみましょう。

木材①・木材②・合板の曲げ強さ比較
木材①・木材②・合板の曲げ強さ比較
  • 木材①(繊維方向に垂直に荷重)― もっとも弱い
  • 木材②(繊維方向に平行に荷重)― もっとも強い
  • 合板(直交積層)― 木材①と木材②の中間の強さ

合板は木材①の木目方向と木材②の木目方向を重ね合わせた状態になっているため、曲げ強さは両者の中間となります。木目方向による強さの差を解消する ―― これが合板の最大の特長です。


断面形状を工夫して、さらに強く

合板DL材は、断面の形状を工夫することで曲げ強さをさらに高めています。この原理は、建築で使われる鉄骨(鋼材)の断面設計と同じです。

教授

注目! 鋼材(鉄骨)の断面形状の工夫と同じ原理を、合板DL材で分かりやすく学習できます。

合板DL材の断面形状と曲げ強さ
合板DL材の断面形状と曲げ強さ
鋼材の断面形状
鋼材の断面形状
断面形状ごとの曲げ強さの比較
断面形状ごとの曲げ強さの比較

上の図は、合板DL材の断面形状(1×1)を基準にして、幅や高さを整数倍したときの曲げ強さを比較しています。製作する構造物に必要な強度に応じて、適切な断面形状を選択することが重要です。

横からの荷重に対する強さ

断面形状は、横方向からの荷重に対する耐性にも影響します。

横荷重を受けたときの変形の違い
横荷重を受けたときの変形の違い

② 加工の技術 ― 合板DL材で組み立てよう

材料としての合板の特長を理解したら、次は実際に合板DL材を使って構造物を組み立てる技術を学びましょう。

L材の製作 ― 構造材の脚を作る

製作学習では、まず構造材の脚となる「L材」を製作するところから始めます。L材は、二種類のDL材(例:1×1材と1×2材)を接着剤で圧着して作ります。

L材の正しい接着面と誤った接着面
L材の正しい接着面と誤った接着面

注意: 合板DL材(1×1)の単板積層面(木口面)を接着面にしてはいけません。積層面は接着剤を吸い込みやすく、十分な接着強度が得られない場合があります。上図の「OK」のように、平滑な面同士を接着面にしましょう。

L材の凹部による接合 ― ほぞ接合より簡単で丈夫

従来の木工では、角材の接合に「ほぞ」と「ほぞ穴」を加工する「ほぞ接合」が使われてきました。しかし合板DL材では、L材の凹部を活用した「突き付け接着接合」により、より簡単で丈夫な接合が可能です。

L材の凹部に材料を差し込む
L材の凹部に材料を差し込む
接着面が広く取れる
接着面が広く取れる
完成した接合部
完成した接合部

L材の凹部分に材料の先端を差し込み、接着剤で圧着するだけで強い構造体が組み上がります。荷重が大きくかかる箇所では、釘を併用してさらに強度を高めます。

接着と圧着の方法

接着接合では、適切な接着剤の選択と、クランプによる確実な圧着が欠かせません。

1.接着剤の種類

  • 速乾木工用接着剤(おススメ)― 扱いやすく、乾燥が早い
  • ゼリー状瞬間接着剤 ― 仮固定に便利

2.圧着クランプの種類

ばねクランプ ― 小さな部材の圧着に
ばねクランプ ― 小さな部材の圧着に
バークランプ ― 長い部材の圧着に
バークランプ ― 長い部材の圧着に

3.接着剤の塗布と圧着の実例

接着剤を塗布したら、すぐにクランプで圧着します。圧着が不十分だと接着強度が大きく低下するため、クランプでの圧着は絶対に省略しないでください。

速乾木工用接着剤の塗布
速乾木工用接着剤の塗布
ゼリー状瞬間接着剤の塗布
ゼリー状瞬間接着剤の塗布
ばねクランプでの圧着
ばねクランプでの圧着
バークランプでの圧着
バークランプでの圧着
複数箇所の同時圧着
複数箇所の同時圧着

まとめ

「合板DL・モジュール木工」は、以下の3つの技術の内容を、生徒の問題解決学習を通して指導できる教材です。

  1. 材料の強さと構造の強さ ― 断面形状の工夫で曲げ強さを高める
  2. 改良木材としての合板 ― 木材の異方性を克服する直交積層の技術
  3. 簡単で丈夫な接着接合 ― L材凹部を活用した突き付け接ぎ

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