【授業レポート:第8時】身の回りの製品は丈夫にするために、どのような工夫があるのだろうか【島根大学附属】

<この記事は全部で4ページあります>
今回は部材の強度に関する授業になります。 まず、前回までのプリントを返却して、簡単に振り返りを行います。
前回の授業で材料(木材、金属、プラスチック)について学習したことを思い出してもらいます。前回の授業で詳しく触れることができていなかった合板(ごうはん)について補足を行います。

木材から削り出した単板(およそ1m x 1mサイズ!)の実物を見せます。薄くぺらぺらとした単板と、模様(節)などについても触れます。丸太をかつら剥きにするために、節などの見え方に規則性があることを示します。また、削り終わった剥き芯(これ以上、削ることができなくなった芯の部分)も見せながら歩留まりの良さも解説します。これだけ大きなサンプルはなかなか手に入らないのですが、地元の合板工場から譲っていただいたものになります。
■1.スチレンボードを使った強度実験(導入)
ここからはスチレンボードを使った強度実験を行います。まずは実験に使うスチレンボードと簡単な治具をグループに配布します。(以下の写真のようにスチレンボードを保持するための治具です)

実験を始める前に、前時までの授業で材料には「強度異方性」あるいは「強度等方性」があるということを説明したことを思い出してもらいます。スチレンボードはどちらになるか問いかけてみます。スチレンボードは製品にもよりますが、ほぼ「強度等方性」ですね。
まずは、このスチレンボードの試料の各サイズを計らせます。


サイズを計ってみよう。と促すと、長さだけに注目しがちですが、幅、厚さも計るように促します。だいたい各グループで計り終わったところで、スライドを示しながら、各部の寸法を全員で確認します。単位にも注意します。

小さい順に(厚さ x 幅 x 長さ )
・5 x 5 x 20mm
・5 x 10 x 20mm
・5 x 15 x 20mm
この3つの試料の違いを尋ねてみます。

・幅が違う。
・5㎜ずつ違う。
といった意見がでました。一番小さい試料を基準に、幅が2倍、3倍と変化していることに着目させます。 いよいよ実験に入ります。
■2.実験1
治具の間に試料を幅広の状態で渡して、中央を**「弱い力で徐々に押して」**、強度の違いを一人ずつ体感していきます。 **「弱い力で徐々に押して」**と、再三説明してもなかなかできない子供たちもちらほら。力を加えすぎて折ってしまうグループも見受けられました。折れると次の実験が出来ないことの説明、試料には予備を用意し、折れたらすぐに報告、交換といった指導も必要かもしれません。


体感してもらった後、どの試料が強度が高いか順番をつけてもらいました。
A < B < C
の順ですね。
■3.実験2
つづいて、同じ資料を用いて背高の状態での強度を確認します。この授業で使用している治具は、背高の状態での保持がしやすくなるように工夫してあります。治具が無い場合だと、洗濯ばさみなどでも代用できるかもしれませんね。


同じく、どの状態の試料が強度が高いか順番をつけてもらいました。
D < E < F
の順です。
■4.実験3
実験1、実験2を踏まえて、これらの試料、状態で総合的な順位を考えてもらいます。 実験1のAの試料と実験2のDの試料は状態が同じなので、同じものと考えます。

Aが最も弱く、Fが最も強いは全員一致の意見でした。 次に弱いのがBという意見もほぼ全員一致。問題はCとEで、意見が分かれました。 再度、CとEの強度を体感して確認するよう促します。確認後に意見を聞くと、Eが強いような気もするけど微妙といった意見もありました。 この試料の状態の違い(幅の違い、高さの違い)により強度が異なることを確認します。 また、BとEの試料は同じ体積(切断面積)であるのに、強度に違いがあることを確認します。
※ 切断面、切断面積、断面などいろいろな表現があります。切断面と言っても短手方向か長手方向かなど厳密には違いあります。どの部分を指しているのかを明確にしておくと理解が進みやすいでしょうね。
■5.実験4
つづいて、今度は支えの位置の変化による強度の違いについて実験します。


結果を確認すると、支えの間隔が狭い方が強度が高いということに気づいていました。
以上の結果を踏まえて、材料は同じものであっても、向きや形、支える位置の変化により強度に違いがあるということを体感しながら学べたと思います。
■6.材料の形状の違いによる強度について
スライドで示しながら、身の回りにはいろいろな形状をした材料があることを示します。また、それらの材料がどんなところで利用されているか考えてみます。


・波板・・・倉庫の屋根に使われている。
・H型、T形・・・倉庫の構造などで見たことある。
などの意見がでました。身近な場所(例えば、教室から見える外階段にはC型鋼が使われている)での利用箇所なども示します。波型などは、屋根だけではなく、もっと身近な段ボールにも利用されていますね。


スチレンボードでの実験を振り返りながら、材料の幅と厚さの違いで強度の違いに法則性があることを示します。また、鋼材などで、L形、T形といった形状があるが、スチレンボードの試料と同じように表現した場合、どの程度の強度になるのか(T材で5.2倍、L材で4.7倍)示します。
ここで実験を振り返り、CとEではどちらが強度が高かったのかを確認します。(Cが3倍、Eが4倍)

続いて、これから製作に利用するKismの強度について説明します。以下のスライドを用いながら、Kismの強度実験結果を示していきます。(Kismは合板メーカーが特別に製造している全層ヒノキの合板です。強度実験結果も提供されてます。) Kismの1x1材はおよそ22㎏までの荷重に耐えうることを説明します。 また、幅広、背高の状態でのそれぞれの実験結果を確認していきます。


最後にいくつかの問題を解いてみます。

こちらの問題を例題に、問いの考え方(図1、2の見方)を説明します。
例) ・幅広に横木を置く場合、1x2でも耐えられるけど、少し安全をみるなら1x3材を使うと良い。 ・背高に横木を束なら、1x2が67㎏まで耐えられるので、十分だ。など

問1の説明をしたのち、問2を考えさせます。
問2は荷重が変化していますね。

問3は逆に利用する材料が決まっています。幅広か背高かどちらを配置した方が良いでしょう?

ここまでで学習した内容を纏めてみます。

最後の問をワークシートに書き込んで、本時の授業は終了です。
実験を通して、体感しながら原理法則を学ぶというのは、理解が深まりやすいと感じます。 また、Kism教材の実験データは、実際にこれから使う材料の実測値となるため、よりイメージしやすく、今後の製作品の仕様決めにも役立つ情報だと感じました。 なんとなく、これくらいといった判断から、理論をもっての判断ができるというのは大きな違いだなと思います。
