合板DL普及協会設立の背景と趣旨

本協会は合板DL教材を通した新たな木材加工教育の全国普及を目的として設立いたしました。

1. 日本の木材加工教育は100年以上の歴史と伝統

日本で学校教育において木材加工教育が手工科、芸能科工作、技術・家庭科の系譜の中で取り入れられて優に100年を超える歴史があります。(「木材の性質と加工」序章 宮崎執筆 開隆堂より)現在も義務教育の必須科目として中学校技術・家庭科技術分野の「材料と加工の技術」において実施されています。

2. 技術教育・革新時代の木材加工教育の現状

しかし、技術革新の時代において従来から実施されてきた技術教育の内容が厳しく評価されるようになりました。以前は「木材加工」を学ぶとされ、材料として木材を使用することが明記されていましたが、現在では「材料と加工の技術」を学ぶと、様々な材料の中から製品使用時の適正な材料選択力を身に付けることが必要となりました。

そして、木材は金属、プラスチックと対峙した教材として学ばねばなりません。金属(鉄)、プラスチックは原材料の化石資源の鉄鉱石、原油などから人類が工夫創造した製鉄技術の開発や製油技術の開発による材料です。しかし、樹木をそのまま材料とした木材にはこのような技術開発要素がありません。この点を解決しないと現代の技術教育では木材加工が教材として存続することが危ぶまれていました。

3. 中学校「材料と加工の技術」学習内容のイノベーションを・・・合板DL教材で

そこで私たちはこの難局を乗り切り、新木材加工教育の継続を願って、島根大学名誉教授 山下晃功、東京学芸大学大学院教授 大谷忠が中心となって、木材の欠点を改良する開発技術を含んでいる合板を使用し、テクノロジーを活用してイノベーションを起こす新たな木材加工法である「合板DL・モジュール木工」を開発しました。

さらに、今日の中学校技術教育の「材料と加工の技術」に相応しい合板DL教材開発をめざすプロジェクトを立ち上げました。この組織では教材製造をTon-ton代表大谷俊行、合板提供を(株)日新、教材の授業開発実践のための協力者として、島根大学教育学部附属義務教育学校教諭 森下博之、東京学芸大学特任講師 渡津光司、山口大学教育学部附属山口中学校教諭 徳光慧がプロジェクトに協力しています。

このような協力に基づいて、中学校「材料と加工の技術」の学習において、「合板DL教材」を通した新しい木材加工教育を普及していきます。

4. 合板DL教材の学習成果を生活に生かそう!!・・・実用品製作への応用を

この中学校技術教育での合板DL教材による学習内容は、学校教育のみならず実生活にも生かすことのできる拡張性のある内容です。合板DL教材で学んだ学習成果は、その設計を拡大し、大きな材料で大型木工作品(例えば、机やいす等)を製作すれば実用家具として、生活に生かして使用できます。この教材の普及活動の拠点が合板DL普及協会です。本協会は合板DL教材を通した新たな木材加工教育と木育の全国普及を目的として設立いたしました。

5. 田部謝恩財団と合板DL普及協会

一般財団法人田部謝恩財団は、林野庁の「木育」の普及振興として、全日本中学校技術・家庭科研究会主催の木工チャレンジコンテストに長年協賛支援されています。この度、本協会での木育の一環として合板DL教材の新木材加工教育の普及にも協賛支援をいただくことができました。このご支援により、学校の先生方に合板DL教材の見本紹介事業を実施することができました。